右折車と直進車との事故
この態様の事故は、同一道路におけるものと交差道路からのものとがある。
当該交差点が見とおしのきかない交差点であることを前提としているが、このような交差点では、左折車だけでなく、直進車(優先道路を通行している場合を除く。)にも徐行義務が課されており、また、実際の運転慣行としても両車とも徐行しているのが通常と考えられる。そこで、左折車については徐行、直進車についてはある程度の減速をしていることを前提として基本割合を定め、徐行又は減速していない場合にはそれぞれ修正要素とした。ところで、交差点において左折車と直進車の進路が交錯するのは、通常、左折車が左方から進入する場合である。これと反対に、右方からの左折車との左方からの直進車が衝突する場合にもあり得るが、後者の場合過失割合は、個別的事情に依存する度合いが大きいと考えられることから、ここでは、前車、すなわち左方からの左折車の場合のみの基準を設けることとした。


| 道路の優先関係 | 同幅員 A左折車 B直進車 | 一方が明らかに広い道路 A狭路車 B広路車 | |||
| 【a/b】基 本 | 【a】A 50 : B 50(1) | 【b】A 70 : B 30(8) | |||
| 修 正 要 素 | Aの明らかな先入(2) | * | * | ||
| 見とおしのきく交差点(3) | - 10 | * | |||
| B減速せず(4) | - 10 | - 10 | |||
| Bその他の著しい過失(5) | - 10 | - 10 | |||
| Bの重過失(5) | - 20 | - 20 | |||
| A一時停止後進入 | * | * | |||
| A徐行なし(6) | + 10 | + 10 | |||
| A大型車(7) | + 5 | + 5 | |||
| Aの著しい過失又(5) | + 10 | + 10 | |||
| Aの重過失(5) | + 20 | + 20 | |||
| 道路の優先関係 | 一方に一時停止の規制あり(9) A規制あり B規制なし | 一方が優先道路(11)(12) A劣後車 B優先度 | |||
| 【c/d】基 本 | 【c】A 80 : B 20 | 【d】A 90 : B 10 | |||
| 修 正 要 素 | Aの明らかな先入(2) | * | * | ||
| 見とおしのきく交差点(3) | * | * | |||
| B減速せず(4) | - 10 | * | |||
| Bその他の著しい過失(5) | - 10 | - 10 | |||
| Bの重過失(5) | - 20 | - 20 | |||
| A一時停止後進入 | - 15(10) | * | |||
| A徐行なし(6) | + 10 | + 10 | |||
| A大型車(7) | + 5 | + 5 | |||
| Aの著しい過失又(5) | + 10 | + 10 | |||
| Aの重過失(5) | + 20 | + 20 | |||
| (1)左折する場合には、直進の場合とは異なり、他の車両の進路上に進路変更していくため、他車の進路を妨害する度合が大きいこと、また、左折車が左折を終え、加速し、直進車と等速度になるまでには時間がかかること、さらに、実際の運転慣行としても、交差道路から、直進車が進行してきた場合には、左折車は直進車に道を譲るのが通常となっていることに照らすと、直進車同士よりも左方優先を制限的に解するのが妥当と考えられる。 (2)この態様においては、事故の形態は通常追突形態となり、広路直進車Bが方向転換等の措置を採ることによって容易に衝突を回避することができると考えられるから、具体的状況に応じてBの著しい過失等において斟酌するのが相当である。したがって、本表では「Aの明らかな先入」としては修正しない。 (3)左方車の存在を認識するのが容易であり、左方優先の原則を適用しやすい場合である。 (4)見とおしのきかない交差点における法42条1号の徐行義務違反であるから、見とおしのきく交差点においては問題とならない。 (5)著しい過失の意義は、脇見運転等前方不注視の著しい場合、著しいハンドル・ブレーキ操作不適切、携帯電話等の通話装置を通話のため使用したり、画像を注視しながら運転すること、おおむね時速15km以上30km未満の速度違反、酒気帯び運転等であり、重過失とは、酒酔い運転、居眠り運転、無免許運転、おおむね30km以上の速度違反、過労、病気及び薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある場合等故意に比すべき重大な過失が挙げられる。 (6)法34条1項所定の徐行義務違反である。必ずしも法律上要求される徐行でなくともよい。 (7)大型車の左折は直進車の進路を妨害する程度が大きくなることから、修正要素として取り上げた。直進車が大型車である場合には考慮する必要がない。 (8)ここでは、左折車が狭路から進入してきた場合のみを基準化している。これと反対に、狭路から交差点に進入してきた直進車と広路から狭路に左折する車両とが衝突する場合もあり得るが、この場合には個別的事情に依存する程度が大きいと考えられるので、具体的状況に応じた判断に委ねるのが相当であろう。 (9)本表【C】は,同幅員の交差点において、一方の道路に一時停止の規制があるだけでなく、明らかに広い道路と狭路の交わる交差点において、狭路側に一時停止の規制がある場合にも適用される。すなわち、本表【c】は【a】及び【b】の特則といえる (10)事故は、主として一時停止義務違反車との間で問題になることから、これを基本とし、一時停止した場合を修正要素としている。 Aが一時停止してBの接近を認めたものの、その速度・距離の判断を誤ったために衝突した場合には、Aを具体的に確認できたBの過失も相当程度あるものといえるから、この場合の修正値を15%としている。 (11)優先道路の意義については法36条2項による。 (12)直進車が優先道路通行車である場合にのみの基準であり、これと反対に、優先道路通行車が左折する場合を基準化するものではないことは、「一方が明らかに広い道路である場合」と同様である。 | |||||