歩行者の事故は、道路に沿って歩行しているときに発生することも少なくない。このような場合、当該発生地点が、歩行者用道路上であるか、あるいは車道上であるか、歩車道の区別のない道路上であるか等で、当該道路における規制態様によって過失相殺率も異なることとなるので、基準化に当たっても、これらに着目して考察するのが妥当である。
(1)歩行者用道路における事故
歩行者用道路においては、歩行者に対して法13条の2の規定により歩行者の通行方法に関する法10条から13条までの規定は適用されない。
この歩行者用道路にあっては、歩行者は歩車道の区別の有無にかかわらず、道路のどの部分でも自由に通行することができ、また、横断歩道の有無にかかわらず、更に横断禁止標識があっても、道路を自由に横断することができる。ただし、歩行者用道路であっても、緊急自動車、消防用車両、公安委員会の発行した標章を掲げている自動車及び警察署長の発行した通行許可証を携帯している車両は通行できるが、この通行を許された車も、特に歩行者に注意して徐行しなければならないから、車に対しては、重い注意義務が課されている。
したがって、原則として、歩行者は過失相殺されることはないものというべきである。ただ、通行が許された車との関係では、歩行者の通行権が絶対的なものとはいえないから、歩行者に対して安全確認義務が課せられる場合もあり、その場合には、若干の過失相殺を考慮しなければならない場合もあろう。しかし、通行が許されていない車との関係では、歩行者の通行権が絶対的に保護されるべきであって、過失相殺されるべきではない。
そこで過失相殺しないことを原則とし、歩行者用道路の通行が許されている車との関係では、直前横断、急な飛び出し等があった時に限り、5%~10%の過失相殺を考えることとした。
なお、本基準は歩行者専用道路における横断も含めて考えてよい。

| 【a】基 本 | 0 | |
| 修 正 要 素 | 夜間 | * |
| 幹線道路 | * | |
| 急な飛び出し(1) | + 5~10 | |
| 住宅街・商店街等 | * | |
| 児童・高齢者 | - 5 | |
| 幼児・身体障害者等 | - 10 | |
| 集団横断 | * | |
| 車の著しい過失 | - 5 | |
| 車の重過失 | - 10 | |
| 歩車道の区別なし | * | |
| (1)歩行者は車に対して注意を払う義務を負っていないと解されるが、歩行者用道路の通行を許されている車が徐行しながら走行しており、歩行者がわずかに注意すれば事故を回避できたのに、車の直前を急に横断したり、予想外に大きくふらつくなどして、車に衝突・接触された場合を想定している。徐行しない車については、加算修正すべきではない。 予想外の急な飛び出し等の場合にはじめて加算修正する。歩行者用道路においては、歩行者は通行方向に対する規制を受けず、自由に通行することができるのに対し、これを通行しようとする車は特に歩行者に注意して徐行しなければならないから、路上遊戯中の者等の行動範囲を予測して走行する必要がある。したがって、歩行者が進路直前に飛び出してきたような場合にのみ加算修正する。 | ||