65歳以上の高齢者はいま、日本の人口の23%を占めている。これが2050年ごろには40%に達するといわれる。
ところで、この水準に既に到達したものがある。運転免許保有者に占める高齢者の割合である。6年後には、この比率が50%になるといわれる。
免許を持つ2人に1人が65歳以上となるのも近い。高齢者による交通事故が増えるのも当然だ。高齢者の事故率が高まり、保険金の支払いが増えたから、それに応じて自動車保険料を上げるという。
保険料負担が大きくなって、多くの高齢者がクルマを手放せば交通事故は減るだろう。だが、クルマしか移動手段がない高齢者は負担に耐えるしかない。
代替手段の確保なしでは、高齢者へのしわ寄せと批判されても仕方なかろう。
自動車やバイクの所有者に義務付けられる自動車損害賠償責任(自賠責)保険の保険料が4月から引き上げられる。
車種によって違うが、2年契約の自家用車(沖縄県、全国の離島を除く)は2480円上がって2万4950円に、軽自動車は2990円上がって2万1970円になる。平均11・7%の値上げだ。
さらに、2013年度にも平均15%前後引き上げられる方向だという。
過去の黒字分などがあるからと、08年4月から保険料を平均27・9%引き下げた。だが、若者のクルマ離れもあり、保険料収入は伸び悩む一方、事故による保険金支払いは増え、収支の均衡が取れなくなった、とは金融庁の説明
である。
高齢者の負担が重くなるのは自賠責だけではない。任意の自動車保険でも保険料が大幅に引き上げられそうだ。
自動車保険や火災保険、介護保険などの保険料率を参考指標として示す「損害保険料率算出機構」が09年7月、自動車保険について一つのデータを出した。
それは、保険金支払いの増加に応じた保険料引き上げを促すものだった。そして、年齢別の事故率の差を考え、30代、40代、50代、60代、70歳以上と保険料を細分化するモデルを新たに示した。
年齢が上がるほど保険料の引き上げ率は高くなる。若いころに比べ身体能力や運動能力は低下してくるため、事故を起こす確率が高くなるというわけだ。
損害保険各社は、この方式にならって保険料引き上げを行おうとしている。
事故を起こす可能性が高い人の保険料は高い。理屈だが、高齢運転者の増加に応じて、さらに保険料が上がっていけば高齢者の「足」を奪うことにもなる。
認知症などの病気を抱えていても運転せざるを得ない高齢者には、代替手段が確保されていなければならない。だが、クルマに頼らざるを得ない地方は当然、都市部よりも公共交通網は貧弱だ。
保険料の引き上げは企業の採算の問題である。逆に言えば、高齢者ができる限り長く安全運転を続けられるようにできれば負担増も小さい。行政の支援、工夫が必要なところだが、動きはまだ鈍い。
引用元:西日本新聞 http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/225220
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