「枯れ葉みたい」との声もあった「もみじマーク」の高齢運転者標識に代わり、「クローバーマーク」が1日導入された。新しいデザインを定めた道交法施行規則の施行に伴うもので、対象は70歳以上で、交通事故死者の中で割合が増えている高齢者に対する支援のシンボルとして定着させたいという意向だ。
新標識は「活発な高齢者」をイメージした。幸せの象徴の四つ葉に、若々しさを表す黄緑と緑、豊かな人生経験を表す黄とだいだい色の4色を使い、シニアの「S」をあしらったデザイン。1万4千点余りの公募作品の中から選ばれた。もみじマークも当分の間使えるということだ。
全国の交通事故+死者数は1970年に過去最悪となる1万6765人を記録しており、75年以降は8千~1万人前後で推移している。2001年以降は減り続け、昨年は前年比51人減の4863人(県内は78人)だった。
高齢者の事故死もこの10年間、毎年わずかずつ減ってはいるが、全体の減少ペースから取り残されてしまった。交通事故+死者数に占める65歳以上の割合は02年まで30%台だったが、03年に40%を超え年々増加している。昨年は50・4%(2450人)に達し、記録が残る66年以降で初めて半数を超えた(警察庁調べ)。
全国平均より早く高齢化が進む熊本県内は、03年に初めて半数を超えた。以降、07年を除き50%台が続いており、県警によると昨年は64・1%(50人)に上がった。
死亡事故で責任が一番大きい「第一当事者」となる10万人当たりの割合を年齢別で見ると、高齢者の割合は高く、「交通弱者」とばかりも言えない。
高齢者が絡む事故の発生を抑え込むことは、今や交通安全行政における最大の課題。とはいえ、記憶力や判断力の衰えを感じながらも“生活の足”として車を手放せない人も多いのも事実だ。高齢者向け講習会などの制度充実や交通環境の整備を図り、いかに安全を確保するかが求められてる。
高齢者対策として警察庁がもみじマークをつくったのは97年。翌年から高齢者講習や運転免許の返納制度をスタートさせた。昨年は、75歳以上を対象にした講習予備検査(認知機能検査)を導入。免許の返納者には交通機関の料金割引の特典を用意するといった自治体などの側面支援もあり、一定の効果を挙げてきた。
しかし、もみじマークは08年に75歳以上のドライバーに表示が罰則付きで義務付けられると不満が噴出した。後期高齢者医療制度が批判を浴びた時期でもあり、「高齢者いじめだ」との声も。翌年には罰則を無くす再度の法改正に追い込まれる事態となった。
こうした経緯から新たに登場したのがクローバーマークだ。標識は体の機能が低下し運転に影響しそうな場合に車の前後に付けることを「努力義務」とする。ほかのドライバーはやむを得ない場合を除き、表示車に幅寄せしたり割り込みをしたりすると5万円以下の罰金が科される。
クローバーマークで高齢者は一層の安全運転を心掛け、周囲もより注意を払い温かく見守るきっかけになることを期待したい。それによって、高齢者対策への意識が高まることを切に願う。
引用元:熊本日日新聞 http://kumanichi.com/syasetsu/kiji/20110203001.shtml
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