ここでは、主として、高速道路の本線車道を走行していた自動車が同車道上に落下していた物によって事故に至った場合を想定しています。高速道路においては、高速度での走行が許可されているのであるから、落下物自体に接触しなくても、運転者が適切な回避措置を採ることができず、事故に至ることも十分にあり得る。したがって、このような非接触型の事故についても、落下物の存在と事故の発生との間に因果関係が認められる限り、本基準を適用しても差し支えない。
ところで、ひとくちに落下物といっても、遠方から視認することができるものもあれば、近くに接近するまで発見困難なものもあり、また、車線を埋めつくしてしまい後車としては停車するか乗り上げるしか方法のないものもある。ここでの落下物は、比較的近距離になってはじめてその危険性を認識できるものであって、接触によりハンドルやブレーキ操作に影響を与え得るもの(物理的に一定の大きさのあるものや滑りやすいもの等)であること、後続車の運転者についても軽度の前方不注視があることを前提としています。落下物の危険性の高い場合や後車からの発見が容易であった場合には、修正要素として考慮することとした。
そして、高速道路においては、一般道路に適用される積載物飛散防止義務のほか、積載物の転落による事故発生を防止するため貨物の積載状況を点検する義務が課されているのであるから、高速道路上に積載物を落下させた前車の責任は一般道路の場合に比して格段に重いといえる。また、後車としても、時速80kmを超える高速度で進行しながらその危険性の程度を即座に判断し、適切な回避措置を講ずることには少なからず困難を伴うものと考えられる。したがって、後車の前方注視義務違反又はブレーキ・ハンドル操作不適切等の安全運転義務違反等の過失よりは、やはり高速道路の本線車道上に積載物を落下させた前車の過失の方が大きいというべきであり、基本割合は、このような双方の過失内容を比較検討して定めている。

| 【a】基 本 | A 40 : B 60 | ||
| 修 正 要 素 | 視認不良(1) | - 10 | |
| 追越車線(2) | - 10 | ||
| Aが自動二輪車(3) | - 10 | ||
| Bの著しい過失又は重過失(4) | - 10~20 | ||
| A速度違反(5) | + 10~20 | ||
| Aの著しい過失又は重過失(6) | + 10~20 | ||
| (1)夜間、降雨等で視認不良の場合には、落下物の発見が容易でない。もっとも、夜間については、現場の街灯の設置状況等により、視界不良とはいえない場合もあろう。 (2)追越車線を走行する車両は走行車線を走行する車両よりも高速であるのが通常であり、落下物に対する回避はより困難であるから、前車側の過失は大きい。 (3)Aが自動二輪車の場合、落下物の回避はより困難であるから、前車側の過失は大きい。 (4)積載方法の不適切の程度が著しい場合には、著しい過失又は重過失として更に加算する。不適切の程度は積載物の危険性に応じて変化し得るが、油を流出させた場合等は発見の困難さや後続車に対する危険性にかんがみて重過失として20%加算されることもあろう。 (5)Aの速度違反の判断基準としては、原則として20km以上40km未満の場合は10%、40km以上の場合は20%を目安として、この範囲で加算修正する。 (6)Aに軽度の前方不注視があることは、前記のとおり基本割合に含めて考慮しているが、200m手前から発見が容易であり、しかもこの地点で安全性の識別ができるにもかかわらずこれを見落とした等前方不注視の程度が著しい場合、居眠り運転、酒酔い運転等の場合には、著しい過失又は重過失として修正要素となる。 | |||