行列知らずの交通事故相談所: ★ 自転車、危険も加速 歩行者との事故、10年で3.7倍
行列知らずの交通事故相談所
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歩行者を巻き込む自転車の事故が絶えない。2009年の事故数は全国で2934件。10年間で約3.7倍に増えた。「エコブーム」で自転車人気が高まるが、専用レーンなどの整備がまだまだ進んでいない。   
 「被告は1239万円を支払え」。神戸地裁が2009年3月、自転車の運転者に賠償を命じる判決を言い渡した。信号のない神戸市内の交差点で、自転車が歩行者の女性と出合い頭にぶつかり、女性は顔の骨が折れる大けがを負った。運転者は路上駐車していた車の陰から出てきた女性に気付くのが遅れ、避け切れなかったという。7割が自転車側の過失とされた。

 自転車事故では相手が死亡した場合、多くは重過失致死の罪に問われる。最高で5年の懲役か禁錮だ。さらに、賠償責任も負うことになる。
 大阪地裁では07年、事故当時に中学生だった男性に、慰謝料など3千万円の賠償を命じる判決が出ている。男性は無灯火で自転車に乗り、歩行者ははねられた際、頭を強く打って約1カ月後に亡くなった。判決によると、男性は信号に気をとられ、対向してきた歩行者を見落としていた。

 自動車には強制保険(自賠責保険)があるが、自転車にはない。日本損害保険協会によると、保険各社は現在、自転車事故に特化した保険をほとんど扱っていない。自動車保険や火災保険の特約として「個人賠償責任保険」をつけて対応している。だが、加入実態は不明という。

 警察庁によると、自転車と歩行者の事故は1999年は801件だったが、翌年に1827件に急増。最近は2千件台の後半で推移している。警察関係者は「免許が不要な半面、ルール順守の意識がまだまだ低い」ことが背景にあるとみている。

 携帯電話で通話やメールをしながら運転していたケースなどもあり、警察庁は08年に30年ぶりに教則を改正し、走行中にヘッドホンで音楽を聴く行為や携帯電話の使用、傘差しなども禁止した。自治体とも協力し、運転マナー向上を呼びかけている。

 一方、自転車が走りやすい道路の整備は進んでいない。国土交通省によると、全国120万キロの道路のうち、自転車の通行スペースが自動車と分離されているのは8万1600キロ(6.8%)。このうち歩行者用とすみ分けができているのは2900キロで、全体の0.2%にとどまっている。

 自転車専用の通行帯があっても、区分が守られていないケースも多いようだ。大阪府が09年12月~10年2月、東大阪市の大阪中央環状線など府内12カ所の歩道で、自転車が通行区分通りに走っているかを調べた。その結果、9万850台のうち、59%の5万3652台が歩行者の通行帯を走っていたという結果だった。

 大阪市西区の中央大通沿いの歩道では、歩行者用の通行帯を次々に自転車が走り抜け、同区の男性会社員(45)は「歩行者も自転車のところを歩いていてごちゃ混ぜ。自転車だけが悪いんじゃないよ」と話していた。

 弁護士や研究者らでつくる「交通法科学研究会」の事務局長を務める高山俊吉弁護士(東京弁護士会)は「自転車は車道では邪魔者、歩道では強者で、位置づけがあいまいで居場所がないことが問題だ」と指摘する。

引用元:asahi.com http://www.asahi.com/kansai/travel/news/OSK201101060097_01.html