車両は、変更後の車線を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならないとされているから、そのおそれがある前車の進路変更は減速として許されず、それによって発生した事故の過失割合は基本的に後車に有利に考えるべきである。他方、前方を走行する車両が進路変更を行うに当たって、適法に進路変更の合図を行っている場合には、後車としても前車の進路変更を察知して適宜減速等の措置を講ずることにより衝突を回避することはさほど困難ではない。
これらのことを考慮した上で、前車が適法に進路変更の合図をしていること、後車が制限速度を遵守していること、及び後車に前車の動静に対する軽度の不注視があることを前提として基本割合を定めた。したがって、後方から進行してきた車両が前車を追い抜いた直後に進路変更した場合などはこの基準の適用外である。
四輪車同士の事故
走行車線から追越車線へ進路変更する場合

| 【a】基 本(1) | A 20:B 80 | ||
| 修 正 要 素 | B合図なし又は合図遅れ(2) | -10 | |
| A初心者マーク等(3) | -10 | ||
| 進路変更禁止区間 | -10 | ||
| Bの著しい過失又は重過失(4) | -10 | ||
| A速度違反(5) | + 10~20 | ||
| 分岐点・出入口付近(6) | +10 | ||
| Aゼブラゾーン走行 | +20 | ||
| Aの著しい過失又は重過失(7) | + 10~20 | ||
| (1)走行車線から追越車線へ進路変更した場合に伴う事故である。この場合、追越車線を走行する車両の速度が走行車線を走行する車両の速度よりも高速であり、進路変更する車両は一層の注意をすべきであるから、その他の場合よりも進路変更する車両の過失相殺率を大きくしている。 (2)法53条第1項・2項違反である。 (3)Aがいわゆる初心者マーク・シルバーマークを表示した車両等であるときは、Bが進路変更するに際して注意義務が加重されるから、修正要素として考慮すべきである。 (4)Bに軽度の落度があることは基本割合に含めて考慮してあるが、それ以上に不適切な進路変更方法を採った場合等には、Bに著しい過失又は重過失があったものとして修正を行うことが妥当であろう。 例えば、Bが、Aの速度又は方向を急に変えさせるおそれなく進路を変更するためには、A、Bの速度差及び車間距離並びにBの加速性能等を的確に判断した上で進路を変更することが必要である。したがって、車間距離が十分であっても著しい低速度で進路変更した場合、車間距離が不十分なのにAより低速度で進路変更した場合等は、いずれもここにいう不適切な進路変更となるであろう。 (5)Aに速度違反がある場合には、Bが進路変更行うに際してその時機を的確に判断することが困難となる。そこで、Aに速度違反がある場合には、20km以上40km未満の場合につき10%を、40km以上の場合につき20%を、それぞれ加算することを目安として、この範囲で修正を加えるが、Bにも速度違反がある場合にはそれとの衝平上、また、走行車線から追越車線への進路変更の場合にはAが追越車線を走行している関係上、それぞれAの速度違反による修正を多少緩やかに考える余地がある。 (6)分岐点・出入口付近においては、走行している本線車道から出ようとする自動車は、あらかじめその前から出口に接続する車両通行帯を通行しなければならないとされており、AとしてもBの進路変更を予想することができるから、これを修正要素として採り上げた。 (7)Aに軽度の動静不注視があることは、前記のとおり基本割合に含めて考慮しているが、著しい動静不注視がある場合には、Aに著しい過失があったものとして別途修正要素となる。 | |||